岩瀬果樹園で栽培したくだものをよく買ってくださるお客様から伺った話のなかで、もっとも多かったのが、次のようなエピソードです。

お母様方が、いつもチロルの農園のくだものを買ってくださり、食卓に出されるそうなのですが、普段はご家族の皆様は何も言わずにすぐに食べてしまうそうです。けれど、たまたまチロルの農園のくだものではないときがあって、それを出すとご家族から

という反応が返ってくるそうです。

チロルの農園のくだものの味に慣れてくださると、それ以外のくだものの味や食感との違いがはっきりわかります。これも”旬”を味わっていただけている証拠なのだと嬉しく思います。

ほかの料理ではあまり口にしないことでも、生ものであるくだものは、味がダイレクトに伝わるせいか、美味しさの違いがはっきりわかってしまう。だから、口をついて言葉が出てくるのでしょう。それは反面、手抜きもわかってしまうということ。適当に育てたくだものは、すぐにばれてしまうのです。だからこそ、育て方、品種、土壌、収穫時期に至るまで私たちは試行錯誤しながら、突き詰めます。一切の妥協はしません。

そのかいあって、多くのリピーターの皆さまにご愛好いただけるようになりました。そんな皆さまに「いつものやつ」という言葉を使っていただける。これほど嬉しく、農家冥利に尽きることはありません。買っていただける方に感謝。そのご家族に感謝。巡り合わせの縁に感謝。すべてに感謝し、今後も精進して参ります。