「かき」は、日本独特の果物と思われがちですが、世界中で1,000種類もあるといわれている国際的な果物です。
日本では、食用にする味覚で甘柿と渋柿に大別されています。甘柿は、そのまま生で食べても甘くて美味しくいただけますが、渋柿は一般的には生で食べるよりも干し柿などにして甘さを熟させるものです。
甘柿の代表格は、丸みを帯びた富有柿と、四角形に近い次郎柿でしょう。この2種類で日本の甘柿のほとんどを占めています。柔らかい果肉と豊かな果汁をもつ富有柿に対して、次郎柿は、シャキシャキした歯ざわりでヌメリがなく上品な甘さを特色にしています。
愛知県と静岡県が、全国における次郎柿(じろうがき)生産のほとんどを担っていますが、元々は、静岡県周智郡森町の松本治郎吉(1813~1887)が、天保15(1844)年に太田川で見つけた幼木を自宅に持ち帰り植えたのがはじまりとされています。
原木は明治2(1869)年に火事によって一度焼失
しましたが、翌年その根元から新芽を出した木は以前にもまして甘く美味しい実をつける木に育ち、現在でも静岡県の指定天然記念物として保存され、現存しています。
当時は発見者の名前から「治郎柿」と表記されていたようですが、戦後の昭和20年以降「次郎柿」と書かれるようになりました。